公益財団法人 オイスカ OISCA

世界の国の森のおはなし~世界「子供の森」探検ツアー~は、「国際理解」や「環境」について考えるきっかけを楽しく簡単につくれる「かみしばい」です

公益財団法人オイスカ

この教材は、平成25年度子どもゆめ基金(独立行政法人国立青少年教育振興機構)助成金の交付を受けて作成したものです。

登場キャラクターについて

2012年に開催した「世界子ども会議」で動物キャラクターとストーリーが生まれました。

 

タイからニシキヘビのブアカオ

タイからニシキヘビのブアカオ

タイ国旗 ブアカオは16歳。貧しい家に生まれたブアカオは、10歳のときに、「将来はムエタイ(タイ式ボクシング)の選手となって賞金を稼いで両親を助けよう」と決心します。ジムに通いはじめ、一生懸命からだを鍛えるブアカオですが、一方で木を植えることが大好きな心やさしい若者です。

タイの街は、自動車の排気ガスによる大気汚染、水質汚染、ゴミの増加とそれにともなうゴミの不法投棄など、実にさまざまな環境問題を抱えています。雨期には洪水がおこるのですが、それによる被害もとても深刻です。

休日、植林活動をしながら、タイの環境問題を少しでも解決したいと、友人たちと語りあうブアカオ。彼の名前は「白蓮」という意味があるそうです。

タイの子どもたちと作りました

動物キャラクターづくり 動物キャラクターづくり
発表 発表
タイの森の課題 タイの森の課題

 

インドネシアからカブトムシのシボラン

インドネシアからカブトムシのシボラン

インドネシア国旗ヘラクレスオオカブトムシのシ・ボランの家は農家です。主には、タピオカの原料となるキャッサバを栽培しています。趣味は「冒険!」と言ってのけるシ・ボランはまだ12才の少年ですが、学校から帰ると、よく両親の仕事を手伝います。がっしりとした体格、眼光鋭い強面の外見とはうらはらに、真面目で控えめな性格のシ・ボランは、植物が大好きです。

好奇心旺盛な彼は、日ごろから本を片手に身近な植物を観察しているので、作物の種付けに関しては、大人顔負けの知識があり、この地域ではちょっとした有名人でもあります。そして、今、シ・ボランの知識と興味は、植物から身のまわりの環境問題へとどんどん広がっています。それというのも、人間たちが使用する植物の病気を治す薬や、害虫を駆除する農薬のために、彼の仲間のカブトムシをはじめ、多くの虫たちがたいへんな被害を被っているからです。

「もっといろいろなものを見て勉強し、環境への知識を深めたい。そして仲間が安心して暮らせる環境にしたい」という願いを胸に、今日も、農作物やまわりの植物に気を配るシ・ボランなのです。

インドネシアの子どもたちと作りました

動物キャラクターづくり 動物キャラクターづくり
発表 発表
インドネシアの森の課題 インドネシアの森の課題

 

フィジーからサンゴのダクワカ

フィジーからサンゴのダクワカ

フィジー国旗 サンゴのコーラル・ダクワカは、ラグビーが大好きなスポーツ青年です。地元で漁師をしていますが、フィジーの美しい自然を心から愛し、 誇りに思っています。いつも輝く太陽と、自分のまわりを泳いでいる色鮮やかな魚たちは、ダクワカにとって家族のような存在です。

フィジーというと、熱帯魚とサンゴ礁が広がる美しい海の「南の楽園」という印象があります。ところが、実際には生態系の破壊が進んでいるのです。 リゾート開発のために、海岸沿いのマングローブが伐採され、それが原因となって洪水となり、流出した土砂のせいで、生態系が破壊されていったのです。

ダクワカの家族や仲間のサンゴたちは、ダイビングをする観光客のシュノーケルで傷をつけられることがよくあります。 友人の魚たちも乱獲され、ダクワカは悲しさとやりきれなさをかかえているのです。

キャバを食べながら、ダクワカは考えます。

「昔のようなきれいな海をとりもどしたい。そのために自分たちは何をしたらいいのか」と。

フィジーの子どもたちと作りました

動物キャラクターづくり 動物キャラクターづくり
発表 発表
フィジーの森の課題 フィジーの森の課題

 

インドからクジャクのモール

インドからクジャクのモール

インド国旗ダンスの教師をしているクジャクのモールは、 「趣味も踊り」というほど、人生の全てを踊りにささげてきました。モールが踊るのは「バングラ」というパンジャブ地方の伝統的な踊りです。 モールにとって踊ることは生きることそのものです。幸せを感じたときに踊り、雨が降っても踊ってきました。

しかし、近年、環境破壊が進み、とくに森林が破壊されたせいで、彼は弱冠20歳にしてコミュニティーと家を失ってしまったのです。寂しい生活を送ることを余儀なくされ、最近では踊ることもめっきり少なくなってしまったモール。

でも、ヨガをしたり自然のなかを散策して、生きる喜びを取り戻そうとしています。 そして、食いしん坊のモールにとっては、大好きなイドゥリ(米粉や豆の粉で作る蒸しパンのようなもの)とドーサ(米と豆で作るクレープのようなもの)を食べる行為も、 踊ることと同じ、神聖なセレモニーなのです。

インドの子どもたちと作りました

動物キャラクターづくり 動物キャラクターづくり
発表 発表
インドの森の課題 インドの森の課題

 

フィリピンからウミガメのリノ

フィリピンからウミガメのリノ

フィリピン国旗ウミガメのリノは、ギターを弾いたり歌うことが大好きな15歳の学生です。元来、がまん強いといわれるウミガメのなかでも、リノのがまん強さ、勤勉さは特別です。

太平洋のパロングビーチで生まれた彼には、弟とふたりの妹がいます。父は漁師、母は専業主婦で、生活は楽ではありませんが、タトロンガリ一家はお互いに助け合うとても仲のよい家族なのです。リノは大好きな両親のために、庭仕事を手伝い、学校のない週末には父と海に魚釣りにでかけます。

しかし、今、その海にさまざまな問題が生じています。不適切に廃棄されるゴミのせいで、水も土壌も汚染されたうえに、シアン化合物やダイナマイトを使った漁業の影響で、魚の住める場所が減ってきているのです。なによりも、リノたちウミガメの食べ物である海藻が少なくなってしまい、ウミガメたちにとっては一番の心配事になっているのです。追い打ちをかけるのは、彼らのすみかのマングローブの林が違法に伐採されていることです。ウミガメたちは生きる場所さえも奪われようとしています。

「家族のたいせつな暮らしを守るため何をしたらいいのか」。ふと気がつけば、リノはいつもこのことを考えるようになりました。

フィリピンの子どもたちと作りました

動物キャラクターづくり 動物キャラクターづくり
発表 発表
フィリピンの森の課題 フィリピンの森の課題

 

日本からタヌキのタック

日本からタヌキのタック

日本の国旗タックは東京で大学のコミュニケーション学科を卒業後、人材派遣会社に就職しましたが、仕事の内容に興味がもてないまま2年で退職。 現在は福祉関係のNPO でアルバイトをしながら自分探しをしている26 歳の青年です。

まじめで誠実なタックは、仕事でも、日常生活でも、ひとつひとつていねいに取りくんでいくので、周囲から信頼を勝ち得ていきます。人の気持ちを敏感に察して細やかな気配りをするタックに、周囲の人たちはいろいろと相談をもちかけます。相手の気持ちを理解しすぎて、相手に感応してしまう繊細なタックにとっては、精神的にきついこともありますが、いつも親身になって対応をしています。

今は東京近郊のアパートで兄と二人暮らしをしているタックですが、早く一人暮らしをするためにも、正社員としてどこかの企業に就職せねばというあせりも抱える毎日です。さて、草食系男子でインドア派のタックの趣味はあやとりと編み物。土曜日には、男性ばかりの編み物サークルに参加して、そこで編んだ手袋やマフラーを、NPO で介護を担当しているお年寄りたちにプレゼントする心やさしい青年です。

 

ケニアからゾウのゾウママ

ケニアからゾウのゾウママ

ケニアの国旗ケニア共和国のサバンナ高原で大家族に囲まれて幸せに暮らしているゾウママは、子供が6人、孫が15人もいるビッグママです。

ゆっくりと歌うようにしゃべるゾウママは小さなことにはクヨクヨしないポジティブシンキングの持ち主。おおらかで包容力のあるゾウママは、家族からもまわりの像たちからも慕われて、相談ごとをもちかけられる女長老的な存在です。ゾウママの趣味は「毎日の生活」をていねいに送ることです。感性豊かなゾウママの好きな言葉は「スローライフ」と「なんとかなるわ」。実は、祖父と夫が密猟の犠牲になったという悲しい体験をしているのですが、いつも明るく楽しげにふるまっています。

動物会議中に対立がおきそうになると、みんなをなだめる潤滑油的な役割を演じ、環境問題への知識が豊富なわけではないのですが、直感で発言するゾウママの言葉には力強いものがあります

 

ブラジルからワニのワニール

ブラジルからワニのワニール

ブラジルの国旗アマゾン出身のワニールは故郷のジャングルをこよなく愛する熱血漢。故郷のアマゾンも焼き畑で消失し、一家総出で街に仕事を求めてやってきました。妻と子供三人の5人暮らしのワニールは今はトロリーバスの運転手をしています。妻は郊外のコーヒー農園で働きながら苦しい家計をささえています。

正義感が強いワニールは、不正や嘘は見逃せない潔癖な性分で、一度頭に血がのぼると、おさえきれずに感情を爆発させてしまいます。故郷のアマゾンの消失は日本の企業のアマゾン開発が原因だと思い込み、真実を調べもせずに、いきなり日本のタヌキに非難をあびせかけ、タックを震え上がらせます。

さて、ご多分にもれず大のサッカーファンのワニールは週末には、子供といっしょにサッカーを楽しむやさしいお父さん。もちろん、カーニバルでは徹夜でお酒を飲み、サンバを踊りまくる典型的ブラジル人でもあるのです。

 

インドネシアからオラウータンのウータ

インドネシアからオラウータンのウータ

インドネシアの国旗一生のほとんどを熱帯林の木の上ですごす「森の人」オラウータン。「森の人」の聖地インドネシアでは森林破壊がすすみ、この20年間で、なんと8割もの生息地が失われ、オラウータンは絶滅の危機に瀕しています。幼いころから、将来への不安を感じてきたウータは、生物学の研究者になり、森林保護の仕事もしながら、ボルネオの森を見まわる毎日です。

仕事のときは、いつも筆記用具を持ち歩き、フォレストレンジャーのユニフォームを身に付けているウータですが、オフには、大好きなバティックの民族衣装に着がえ、のんびりと釣りをするのが一番の楽しみです。泰然自若としているウータは森の生き物たちになにかと頼られる存在です。

 

ドイツからハリネズミのハリィ

ドイツからハリネズミのハリィ

ドイツの国旗ベルリンの緑豊かな住宅街にすむハリィは、光学機器メーカーに勤務する29 歳の青年です。

自然をこよなく愛するハリィはもの静かで、常にものごとを論理的、効率的に考えます。環境先進国といわれるドイツを誇りに思っていて、環境に配慮した質素な日常生活を送っています。好きな言葉は「節約」と「秩序」。両親はベルリン出身で、父方の祖母がスエーデン出身のクオーター。ハリィは旧西ベルリンの両親の所有するアパートメントで一人暮らしをしています。長身で細身のハリィですが、最近おなかがでてきたため水泳をはじめました。

ハリィの趣味は風景写真を撮ることと音楽と散歩。写真は自分で現像するほど凝っていて、イースターや夏のバカンスを利用して、北欧をめぐっては写真を撮り続けています。音楽は主にクラシックが好きで我流でチェロを弾きますが、学生時代はパンクロックのバンドをくみ、ギターを担当していました。ベルリン郊外には大小の湖が点在していますが、ハリィは週末には必ず自転車で、郊外の湖畔をサイクリングするのが楽しみ。その時、必ず持参するのは、ポット入りのハーブテイーとライ麦パンにチーズをはさんだサンドウィッチです。

 

インドからトラのトラジー

インドからトラのトラジー

インドの国旗トラのトラジーはインドのパンジャブ地方出身です。父親はトラジーがまだ幼いころ、密漁の餌食となり、母トラも病死してしまったので、それ以降、山奥で修行をするヨガ行者たちに育てられました。今は、ヨガ行者たちとも離れて一人暮らしのトラジーは天涯孤独の身です。

子供のころからヨガ行者として、隠遁生活をしてきたトラジーはもうすぐ還暦です。長年にわたる菜食と修行のおかげで頭はさえわたり、体も健康そのもののトラジー。トラの密猟者の手によって、すでにヨガ仲間の何匹かが殺され、自分の住処も安全な場所ではなくなったトラジーは、意を決して、カレーを作る片手ナベひとつをぶらさげて山をおりることにしました。

粗衣粗食、シンプルライフを自ら実践するトラジーの提案は、都会でのモダンな生活を営むものたちにとっては、極端にストイックすぎて、ついていけないことばかりです。ヨガで鍛えた精神力と落ち着きはらった風貌で、動物かんきょう会議では、長老的な役割を果たすトラジーですが、長年、現代社会と隔絶して生きてきたために、突拍子もない的はずれの意見を述べて、ほかの動物たちを唖然とさせることもしばしばです。