インドからトラの "トラジー"

シンプルライフのヨガ行者

 トラのトラジーはインドのパンジャブ地方出身です。 父親はトラジーがまだ幼いころ、密漁の餌食となり、母トラも病死してしまったので、それ以降、山奥で修行をするヨガ行者たちに育てられました。今は、ヨガ行者たちとも離れて一人暮らしのトラジーは天涯孤独の身です。子供のころからヨガ行者として、隠遁生活をしてきたトラジーはもうすぐ還暦です。長年にわたる菜食と修行のおかげで頭はさえわたり、体も健康そのもののトラジー。トラの密猟者の手によって、すでにヨガ仲間の何匹かが殺され、自分の住処も安全な場所ではなくなったトラジーは、意を決して、カレーを作る片手ナベひとつをぶらさげて山をおりることにしました。粗衣粗食、シンプルライフを自ら実践するトラジーの提案は、都会でのモダンな生活を営むものたちにとっては、極端にストイックすぎて、ついていけないことばかりです。ヨガで鍛えた精神力と落ち着きはらった風貌で、動物かんきょう会議では、長老的な役割を果たすトラジーですが、長年、現代社会と隔絶して生きてきたために、突拍子もない的はずれの意見を述べて、ほかの動物たちを唖然とさせることもしばしばです。