[登場キャラクター]

日本からタヌキの "タック"
まじめで礼儀正しい好青年



 タックは東京で大学のコミュニケーション学科を卒業後、人材派遣会社に就職しましたが、仕事の内容に興味がもてないまま2年で退職。 現在は福祉関係のNPO でアルバイトをしながら自分探しをしている26 歳の青年です。まじめで誠実なタックは、仕事でも、日常生活でも、ひとつひとつていねいに取りくんでいくので、周囲から信頼を勝ち得ていきます。人の気持ちを敏感に察して細やかな気配りをするタックに、周囲の人たちはいろいろと相談をもちかけます。相手の気持ちを理解しすぎて、相手に感応してしまう繊細なタックにとっては、精神的にきついこともありますが、いつも親身になって対応をしています。今は東京近郊のアパートで兄と二人暮らしをしているタックですが、早く一人暮らしをするためにも、正社員としてどこかの企業に就職せねばというあせりも抱える毎日です。さて、草食系男子でインドア派のタックの趣味はあやとりと編み物。土曜日には、男性ばかりの編み物サークルに参加して、そこで編んだ手袋やマフラーを、NPO で介護を担当しているお年寄りたちにプレゼントする心やさしい青年です。





ケニアからゾウの "ゾウママ"
おおらかなビッグママ



 ケニア共和国のサバンナ高原で大家族に囲まれて幸せに暮らしているゾウママは、子供が6人、孫が15人もいるビッグママです。ゆっくりと歌うようにしゃべるゾウママは小さなことにはクヨクヨしないポジティブシンキングの持ち主。おおらかで包容力のあるゾウママは、家族からもまわりの像たちからも慕われて、相談ごとをもちかけられる女長老的な存在です。ゾウママの趣味は「毎日の生活」をていねいに送ることです。感性豊かなゾウママの好きな言葉は「スローライフ」と「なんとかなるわ」。実は、祖父と夫が密猟の犠牲になったという悲しい体験をしているのですが、いつも明るく楽しげにふるまっています。動物会議中に対立がおきそうになると、みんなをなだめる潤滑油的な役割を演じ、環境問題への知識が豊富なわけではないのですが、直感で発言するゾウママの言葉には力強いものがあります。





フランスからオンドリの "ジャン"
美意識の高いジャーナリスト



 オンドリのジャンは南仏はニースの生まれ。今はパリの小さな出版社で編集の仕事をしています。本業のかたわら、前衛詩を文芸誌に発表する、その世界では名の通った詩人でもあります。毎朝、オフィスの近くのカフェで、5種類の新聞に目を通し、カフェの常連たちと、雑談をかわしてウォーミングアップをするのが習慣です。 パックスのパートナー、ベレニスと彼女の11歳になる連れ子(男の子)ジャン(同じ名)と暮らしていますが、日本のコミックとゲームが好きな男の子の影響で、最近、マンガを読むようになりました。仲が良くて、一見、幸せそうな家族なのですが、実は、困った問題が・・・ジャンは自らウサギや魚をさばくほど料理の腕前はプロ級で、自他ともに認める美食家なのですが、ちかごろベレニスがマクロビオテックに興味をもちはじめ、夕食のメニューをめぐっての喧嘩が頻発しています。食事療法で、アトピーで苦しむ息子の体質改善にとりくんでいるベレニスが、ジャンの美食を非難するのです。さて、多くのパリジャンがそうであるように、ファッションにはちょっとこだわりをもっているジャン。ストレスを発散するかのように、ブティック通いをする今日このごろなのです。





アメリカ合衆国からワシの "ワッシ"
無邪気で単純な発明家



 テキサス出身のハクトウワシのワッシ。家は大豆農家で広大な農地を所有しています。ワッシは、男ばかり3人兄弟の真ん中。ハイスクール卒業後、両親が経営する農園を手伝っています。今年32 歳になるワッシの特技はダーツとクルマと発明。体格が良く声も大きくて社交的なワッシは、地元ではかなりの人気者です。しかも、手先が器用でたいていのことは勘でできてしまうワッシは、かなりの自信家で生意気です。遠慮を知らないワッシは、動物会議の最中も本音でズバズバ発言し、まわりの動物たちのヒンシュクをかうこともしばしば。環境を配慮した生活なんてあまり考えたことがありません。クルマが大好きで、中古車を買い替えては自分で改造するワッシは手先がとても器用。農園の農具小屋を改造して、日常生活に便利に役立つものをいろいろと発明しては、家族や友達からおもしろがられ、特許を申請してもいるのですが、まだなかなかお金には結びつかない状態です。ワッシは粉末を溶かしたクランベリージュースとベーコンバーガーとお寿司のカリフォルニア巻きが大好き。最近、ハイスクールの時からつきあっていたガールフレンドと別れたばかりで、少々、荒れ気味のワッシです。





インドからトラの "トラジー"
シンプルライフのヨガ行者



 トラのトラジーはインドのパンジャブ地方出身です。 父親はトラジーがまだ幼いころ、密漁の餌食となり、母トラも病死してしまったので、それ以降、山奥で修行をするヨガ行者たちに育てられました。今は、ヨガ行者たちとも離れて一人暮らしのトラジーは天涯孤独の身です。子供のころからヨガ行者として、隠遁生活をしてきたトラジーはもうすぐ還暦です。長年にわたる菜食と修行のおかげで頭はさえわたり、体も健康そのもののトラジー。トラの密猟者の手によって、すでにヨガ仲間の何匹かが殺され、自分の住処も安全な場所ではなくなったトラジーは、意を決して、カレーを作る片手ナベひとつをぶらさげて山をおりることにしました。粗衣粗食、シンプルライフを自ら実践するトラジーの提案は、都会でのモダンな生活を営むものたちにとっては、極端にストイックすぎて、ついていけないことばかりです。ヨガで鍛えた精神力と落ち着きはらった風貌で、動物かんきょう会議では、長老的な役割を果たすトラジーですが、長年、現代社会と隔絶して生きてきたために、突拍子もない的はずれの意見を述べて、ほかの動物たちを唖然とさせることもしばしばです。





イギリスからウサギの "Dr.ラビ"
博識な情報オタク



 ロンドンはシティの金融街でマーケティングの仕事をするDr.ラビは経済博士。大学院を卒業した後、金融関係の職場を2回ほど転職した36 歳のエリートです。Dr. ラビの好きな言葉「知は力なり」が示すとおり、豊富な知識と分析能力が自慢のデータオタクです。食事のときもベッドでも、常にノートパソコンかi-padを肌身離さず持ちあるいているDr. ラビ。表向きの趣味はチェスとガーデニングで、田舎に所有するコテージに毎週末、きゅうりとディルのサンドイッチ持参ででかけては、草花をいじってリフレッシュしています。一方で日本製のアニメーションが大好きで、フィギュアのコレクターでもあるのですが、周囲にはこのことを秘密にしています。争いごとやもめ事が大嫌いなDr.ラビは、他者とは常に距離を保ちつつクールにつきあいたいと考えるタイプ。動物かんきょう会議では、常に「データ提供者」という役回りを演じながら、自分が論議に巻き込まれないように細心の注意をはらいながら立ち回っています。





ブラジルからワニの "ワニール"
アマゾンを愛する熱血漢



 アマゾン出身のワニールは故郷のジャングルをこよなく愛する熱血漢。故郷のアマゾンも焼き畑で消失し、一家総出で街に仕事を求めてやってきました。妻と子供三人の5人暮らしのワニールは今はトロリーバスの運転手をしています。妻は郊外のコーヒー農園で働きながら苦しい家計をささえています。正義感が強いワニールは、不正や嘘は見逃せない潔癖な性分で、一度頭に血がのぼると、おさえきれずに感情を爆発させてしまいます。故郷のアマゾンの消失は日本の企業のアマゾン開発が原因だと思い込み、真実を調べもせずに、いきなり日本のタヌキに非難をあびせかけ、タックを震え上がらせます。さて、ご多分にもれず大のサッカーファンのワニールは週末には、子供といっしょにサッカーを楽しむやさしいお父さん。もちろん、カーニバルでは徹夜でお酒を飲み、サンバを踊りまくる典型的ブラジル人でもあるのです。





ドイツからハリネズミの "ハリィ"
知的だが、少し理屈っぽい



 ベルリンの緑豊かな住宅街にすむハリィは、光学機器メーカーに勤務する29 歳の青年です。自然をこよなく愛するハリィはもの静かで、常にものごとを論理的、効率的に考えます。環境先進国といわれるドイツを誇りに思っていて、環境に配慮した質素な日常生活を送っています。好きな言葉は「節約」と「秩序」。両親はベルリン出身で、父方の祖母がスエーデン出身のクオーター。ハリィは旧西ベルリンの両親の所有するアパートメントで一人暮らしをしています。長身で細身のハリィですが、最近おなかがでてきたため水泳をはじめました。ハリィの趣味は風景写真を撮ることと音楽と散歩。写真は自分で現像するほど凝っていて、イースターや夏のバカンスを利用して、北欧をめぐっては写真を撮り続けています。音楽は主にクラシックが好きで我流でチェロを弾きますが、学生時代はパンクロックのバンドをくみ、ギターを担当していました。ベルリン郊外には大小の湖が点在していますが、ハリィは週末には必ず自転車で、郊外の湖畔をサイクリングするのが楽しみ。その時、必ず持参するのは、ポット入りのハーブテイーとライ麦パンにチーズをはさんだサンドウィッチです。





韓国からチンドンケンの "キィヌ"
正義感にあふれる行動派



 キイヌはソウルの大学二年生。児童心理学を専攻しています。正義感が強くて、凛としたたずまいの女性で、子どものころから続けているテコンドーはかなりの腕前です。子どもが大好きなキイヌは、将来は世界のめぐまれない子どもたちのためにNGOで働きたいと考えています。今は英語の勉強に精をだし、留学資金をためるために、ホテルでアルバイトをしています。いつも前向きで積極的にものごとに取り組むキイヌにも、悩み事があります。高校生の弟が不登校になり家にひきこもっているのです。





北海からアザラシの "アーシィー"
家族と友を失った少女



 アーシィーは孤独なアザラシの少女です。原因不明の病気で、両親も多くの友だちのアザラシも死んでしまいました。アーシィーの暮らす海には、さまざまな国や地域から水が流れ込みます。海に住む生き物たちには、国境など関係ないのです。アーシィーは、漁で使われた網にからまって苦しんでいるところを、たまたま船で通りかかった韓国のキイヌに助けられました。海でおこっている深刻な環境汚染を伝えたいと、かんきょう会議にやってきたのです。





ロシアからクマの "ターニャ"
ナルシストの元オペラ歌手



 世界遺産の街サンクトペテルブルグで古美術商を営むクマのターニャ。子どものころから美術館や宮殿に
足しげく通って審美眼を鍛えたターニャは、若いころはオペラ歌手としてマリンスキー劇場の舞台を踏んだこともありましたが、
引退した今は、帝政ロシア時代の絵画や調度品を扱う古美術商をしています。外国人観光客だけではなく、街の若い人たちにも、古き良き時代のロシアの伝統や
美意識、ロシア芸術を伝えたいと、ターニャは定期的なアートセミナーをボランティアで開催しています。

オペラ歌手だったターニャは、いつも琥珀や金のアクセサリーで、ゴージャスに装っています。唯美主義の彼女はわがままでエキセントリックですが、なぜかまわりを惹き付けるカリスマ的な魅力にあふれています。





中国からパンダの "パオ"
伝統を重んじる仕事人間



 中国の四川省出身のジャイアントパンダ、パオは、中国の四川省生まれ。エネルギー関連の会社を経営するバリバリの仕事熊猫です。パオが
10年前に起業したエネルギー関連の会社は飛躍的な成長を遂げています。朝から晩までパワフルに仕事をこなすパオの楽しみは、
一人娘のランランとドミノ倒しをして遊ぶこと。
そして、幼少のころから、画家だった祖父の手ほどきをうけてきたパオの水墨画の腕前はなかなかのものです。仕事上の迷いが生じると、筆をとって絵を描きながら、自分と対話をするのです。





インドネシアから
オランウータンの "ウータ"
おっとりしたフォレストレンジャー



 一生のほとんどを熱帯林の木の上ですごす「森の人」オラウータン。
「森の人」の聖地インドネシアでは森林破壊がすすみ、
この20年間で、なんと8割もの生息地が失われ、オラウータンは絶滅の危機に瀕しています。幼いころから、将来への不安を感じてきたウータは、
生物学の研究者になり、森林保護の仕事もしながら、ボルネオの森を見まわる毎日です。

仕事のときは、いつも筆記用具を持ち歩き、フォレストレンジャーのユニフォームを
身に付けているウータですが、オフには、大好きなバティックの民族衣装に
着がえ、のんびりと釣りをするのが一番の楽しみです。
泰然自若としているウータは森の生き物たちになにかと頼られる存在です。





カナダからビーバーの "イーヴァ"
変わり者のアーティスト



 川の流れをせき止めてダムを作り、その内部に住みかをつくるビーバーですが、
自らの習性ともいうべき才能をさらに進化させて、
インスタレーションにまで昇華させたのは、アーティストのイーヴァです。

イーヴァが川をせき止めて創った池は、多くの生き物たちに
大きな恩恵をほどこします。イーヴァの池には水草が茂り、水鳥の住み処となります。
何年もの歳月を経て、池には肥沃な土砂が堆積し、草が生茂り、
その草を食べに草食動物が集まってくる。と、こんな感じです。
イーヴァのインスタレーションは、広い空間と長い時間をかけてじっくりと
醸成され変化するアート。それは「エコスタレーション」という新しい環境アートの草分けとなっているのです。





イタリアからモグラの "ピノ"
友達いっぱいのオリーブ農家



 モグラのピノはナポリ郊外で、父親の経営するオリーブ農園を手伝っています。代々続くピノの家のオリーブオイルは通好みの味で、知る人ぞ知る名品です。海外のバイヤーからもひきあいがあるのですが、ピノも父親もこれ以上事業を広げるつもりは全くありません。家族が仲良く手堅く守っていくオリーブ農園で、土地の人たちが喜んでくれる品質のいいオリーブオイルができればそれで満足なのです。なによりこれ以上、仕事が忙しくなるのはまっぴらなのです。生粋のナポリッ子のピノは明るくてほがらかで、老若男女を問わずたくさんの友人がいます。ピノは器用で多趣味で、料理もすればカンツォーネも上手ですし、陶芸もするのですが、彼が大切にしているのは友だちと飲んで食べて語らうこと。そしてもちろん、一番大切にしているのは、幼なじみの奥さんと今年5歳になる息子とすごす時間なのです。





ガラパゴス諸島から
イグアナの "イーグとガーラ"
発明家の仲良し双子



 エクアドルのガラパゴス諸島からやってきたイグアナのイーグとガーラの兄弟。兄のイーグはサボテンとのコミュニケーションでイーグノーベル賞を受賞したばかり。弟のガーラはサボテンの食品加工の仕事をしています。ピンクイグアナのイーグは、過酷な環境の中でたくましく生きぬくサボテンに、
恐竜を先祖にもつ爬虫類のイメージを重ね、研究を深めていくうちに、
サボテンと会話ができるようになりました。
そんなイーグが、サボテンとの細やかな心の交流を通して生み出したのが、長寿エキスです。
今、弟のガーラが営む食品加工場では、その商品化に成功し
世界各地から注目をあびています。

イーグは朝から晩までサボテンの研究に余念がありません





オーストラリアから
カンガルーの "ルーポとジョーイ"
SNSにはまる新米ママ



アカカンガルーのルーポは子育て真っ最中の新米ママ。生後5ヶ月の息子ジョーイから、一時も目をはなすことができません。
とはいいながら、オシャレにも気をぬきません。
シドニーにある鉱物輸出会社で秘書をしていたルーポは、
初産をきっかけに故郷に戻ってきました。
オゾン層の破壊が深刻なオーストラリアでは、99%UVカットのサンシェード付きベビーカー
はもちろんこと、サングラス、つば広の帽子と日焼 け止めクリームが必需品です。

今は、SNSで世界のママたちと「子供たちのためのエコ」を語り合う毎日です。

今日も、ベビーカーとのカラーコーディネイトでセンスよく装うルーポです





オーストリーのマーモットの "ティモ"
自然を愛する山のマイスター



 マーモットのティモは、
オーストリアのチロル州からやってきました。
雄大なアルプスの山々に囲まれたチロルの自然をこよなく愛するティモは、
曽祖父の代から営業している名物ロッジのオーナーです。
先祖代々受けつがれてきた素朴な暮らしを淡々と守るティモ。
アルプスに生きる鳥や小さな虫たち、そして樹木や草花まですべてを知り尽くし、
みんなから尊敬され、相談ごとをもちこまれる「山のマイスター」です。ティモの生活はほぼ自給自足です。
アルプスの森から伐採した木材の製材クズを燃料にしたバイオマス暖房の利用。
雨水も無駄にせず貯め置きしています。もちろん極力ゴミを出しません。
このような、ここ最近見直されてきたエコロジーなライススタイルこそ、
ティモがものごころついたころから実践してきたごく当たり前の暮らしなのです。
そして、ティモにとって一番大切なこと、それは「居心地がいいこと」です。
自分にとっても、まわりの自然にとっても居心地のいい環境、
これを追求した結果、今の暮らし方になりました。20人もお客がくれば満杯のティモのロッジ。
彼の暮らしぶりをお手本にしようと世界各地から訪れるゲストで、
一年中にぎわっています。





トルコから子ヒツジの "ラムジー"
夢いっぱいの少年



 世界の七不思議、古代都市エフェソスのアルテミス神殿の遺跡。
ここが幼いころから慣れ親しんだラムジィの遊び場です。
キリム工房を営む祖父に育てられたラムジィは、おじいちゃんが大好きです。
伝統的な織物キリムを世の中に広めたいと、きれいな色を出すために草木染めを
研究する祖父のうしろ姿を見て育ったラムジィ。
学校を卒業したらおじいちゃんの工房でキリムの修業をするつもりです。
とはいっても、14才のラムジィは遊びざかり。
毎日のように神殿の遺跡あたりをうろついては、宝探しをしたり、
観光客をガイドしてお小遣いをかせいだり、時にはおじいちゃんの工房ヘ
お客を連れてきたりと、好奇心いっぱいの少年なのです。






北極からシロクマの "ヴァンダー"
さすらいの家具職人



 身長3メートル体重500キロをこえるホッキョクグマのヴァンダー。その巨漢とクールなセンスを活かした家具職人としてひっぱりだこです。ヴァンダーの手にかかれば、壊れかけた古い家具は命を吹き返し、雰囲気のあるアンティーク家具に生まれ変わるのです。流氷に乗って北半球の各地を移動し、家具職人としての腕をふるいながら放浪の旅をしていたヴァンダーでしたが、近年、温暖化のせいで流氷が解け、移動するには自力で泳ぎつづけるかボートを漕がねばならなくなりました。体力のない多くの仲間は流氷にたどりつけず力尽きておぼれ死にました。極北の海で起きている深刻な「生命の危機」。これを「みんなに知って欲しい」との切実な思いから、動物かんきょう会議にかけつけたヴァンダー。道具箱ひとつを抱え放浪職人として一年のほとんどを旅しているのです。





無国籍のハイエナの "ハイダラ"
謎だらけの怪しい存在



 ハイエナのハイダラは謎が多い存在です。国籍、職業、年齢、家族個性はもちろんのこと、ハイダラが何を考え、どんな主義主張をもっているのかさえ、誰も知りません。自らのことはいっさい語らず、感情を全くあらわさないハイダラは、不気味な薄笑いを浮かべながら、かなつぼまなこの奥から冷ややかに、まわりの動物たちを観察しているのです。





[オイスカのキャラクター]
2012年に開催した「世界子ども会議」で動物キャラクターとストーリーが生まれました。

タイからニシキヘビの "ブアカオ"
心やさしい若者



 ブアカオは16歳。貧しい家に生まれたブアカオは、10歳のときに、「将来はムエタイ(タイ式ボクシング)の選手となって賞金を稼いで両親を助けよう」と決心します。ジムに通いはじめ、一生懸命からだを鍛えるブアカオですが、一方で木を植えることが大好きな心やさしい若者です。タイの街は、自動車の排気ガスによる大気汚染、水質汚染、ゴミの増加とそれにともなうゴミの不法投棄など、実にさまざまな環境問題を抱えています。雨期には洪水がおこるのですが、それによる被害もとても深刻です。休日、植林活動をしながら、タイの環境問題を少しでも解決したいと、友人たちと語りあうブアカオ。彼の名前は「白蓮」という意味があるそうです。





インドネシアからカブトムシの "シボラン"
真面目で控えめな性格



 ヘラクレスオオカブトムシのシ・ボランの家は農家です。主には、タピオカの原料となるキャッサバを栽培しています。趣味は「冒険!」と言ってのけるシ・ボランはまだ12才の少年ですが、学校から帰ると、よく両親の仕事を手伝います。がっしりとした体格、眼光鋭い強面の外見とはうらはらに、真面目で控えめな性格のシ・ボランは、植物が大好きです。好奇心旺盛な彼は、日ごろから本を片手に身近な植物を観察しているので、作物の種付けに関しては、大人顔負けの知識があり、この地域ではちょっとした有名人でもあります。そして、今、シ・ボランの知識と興味は、植物から身のまわりの環境問題へとどんどん広がっています。それというのも、人間たちが使用する植物の病気を治す薬や、害虫を駆除する農薬のために、彼の仲間のカブトムシをはじめ、多くの虫たちがたいへんな被害を被っているからです。「もっといろいろなものを見て勉強し、環境への知識を深めたい。そして仲間が安心して暮らせる環境にしたい」という願いを胸に、今日も、農作物やまわりの植物に気を配るシ・ボランなのです。





フィジーからサンゴの "ダクワカ"
ラグビーが大好きなスポーツ青年



 サンゴのコーラル・ダクワカは、ラグビーが大好きなスポーツ青年です。地元で漁師をしていますが、フィジーの美しい自然を心から愛し、 誇りに思っています。いつも輝く太陽と、自分のまわりを泳いでいる色鮮やかな魚たちは、ダクワカにとって家族のような存在です。フィジーというと、熱帯魚とサンゴ礁が広がる美しい海の「南の楽園」という印象があります。ところが、実際には生態系の破壊が進んでいるのです。 リゾート開発のために、海岸沿いのマングローブが伐採され、それが原因となって洪水となり、流出した土砂のせいで、生態系が破壊されていったのです。ダクワカの家族や仲間のサンゴたちは、ダイビングをする観光客のシュノーケルで傷をつけられることがよくあります。 友人の魚たちも乱獲され、ダクワカは悲しさとやりきれなさをかかえているのです。キャバを食べながら、ダクワカは考えます。「昔のようなきれいな海をとりもどしたい。そのために自分たちは何をしたらいいのか」と。





インドからクジャクの "モール"
ダンスの教師



 ダンスの教師をしているクジャクのモールは、 「趣味も踊り」というほど、人生の全てを踊りにささげてきました。モールが踊るのは「バングラ」というパンジャブ地方の伝統的な踊りです。 モールにとって踊ることは生きることそのものです。幸せを感じたときに踊り、雨が降っても踊ってきました。しかし、近年、環境破壊が進み、とくに森林が破壊されたせいで、彼は弱冠20歳にしてコミュニティーと家を失ってしまったのです。寂しい生活を送ることを余儀なくされ、最近では踊ることもめっきり少なくなってしまったモール。でも、ヨガをしたり自然のなかを散策して、生きる喜びを取り戻そうとしています。 そして、食いしん坊のモールにとっては、大好きなイドゥリ(米粉や豆の粉で作る蒸しパンのようなもの)とドーサ(米と豆で作るクレープのようなもの)を食べる行為も、 踊ることと同じ、神聖なセレモニーなのです。





フィリピンからウミガメの "リノ"
ギターを弾いたり歌うことが大好きな学生



 ウミガメのリノは、ギターを弾いたり歌うことが大好きな15歳の学生です。元来、がまん強いといわれるウミガメのなかでも、リノのがまん強さ、勤勉さは特別です。太平洋のパロングビーチで生まれた彼には、弟とふたりの妹がいます。父は漁師、母は専業主婦で、生活は楽ではありませんが、タトロンガリ一家はお互いに助け合うとても仲のよい家族なのです。リノは大好きな両親のために、庭仕事を手伝い、学校のない週末には父と海に魚釣りにでかけます。しかし、今、その海にさまざまな問題が生じています。不適切に廃棄されるゴミのせいで、水も土壌も汚染されたうえに、シアン化合物やダイナマイトを使った漁業の影響で、魚の住める場所が減ってきているのです。なによりも、リノたちウミガメの食べ物である海藻が少なくなってしまい、ウミガメたちにとっては一番の心配事になっているのです。追い打ちをかけるのは、彼らのすみかのマングローブの林が違法に伐採されていることです。ウミガメたちは生きる場所さえも奪われようとしています。「家族のたいせつな暮らしを守るため何をしたらいいのか」。ふと気がつけば、リノはいつもこのことを考えるようになりました。

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