益田氏:
動物かんきょう会議とは、すごく良いテーマだと思います。
自分たちが今、買うもの、あるいは食べるもの使うものというのはそれはどこで誰が作っていてその影響がどのようになっているかということを知ろうとする気持ちというのはすごく大切だと思います。
動物かんきょう会議は、自分が動物の立場になって考えるというすごく深みがあるのですが、自分たちが何かを買って使う、それは動物たちの生態や暮らしにどのような影響があるのか、命にはどう影響するのかを見ていくと、その想像力がとても広がっていくのですね。
そうなると大人が勝手に「安いから買ってきたよ」ということに対して、子どもたちが「ちょっと待ってよお母さん」という批判力がついてくるわけですね。
そうしないと我々にとっての幸せというのは誰かの不幸の代償という関係が死ぬまで見れない人間になってしまいます。そうするといくら我々が手厚く子どもの安全をと言ったところでおそらく世界には受け入れてもらえないですね。
冒頭でも申しましたが我々だけが幸せになれば良い、我々だけがお金が儲かれば良いというものでは絶対にありません。
世界中の中でも一番お金持ちの一番重宝されている子どもたちをさらに大切にしますと言ったところで、明日のご飯をどうやって食べさせるか悩んでいるお母さんが世界中にいっぱいいるわけですから、そういう人たちの共感など受けられるわけがありません。そこはこれからの日本は特に注意深く考えていく必要があります。
赤池氏:
そうですよね。そういう意味でも内閣府は偉いなと思いまして。
環境大臣賞だとジャストなのですが、そうではなく生物多様性に意識した消費活動に決めたということはきちんと意味を深読みして消費者担当大臣賞ということは、ちゃんと見識があるなと思いました。
そうい意味ではSDGsシリーズで17のゴールがあるので生物多様性だけではなくて消費活動ひとつとっても様々な可能性があるのだということそういういくつかのウインドウの中から子どもに対する消費活動の啓発というのは今回の動物かんきょう会議以外にも様々な展開が可能ですよね。
益田氏:
そうですね。
紅茶の話ですが、どこで採れた紅茶なんだ?という話ですね。
どうしてコーヒーは赤道直下のコーヒーベルトで採れるのか、その後、すぐにあっという間に植民地政策に繋がっていくわけですよね。
そういうことを大人は知りたくない。
それをお金に変えることばかり考えていますね。
子どもの方が、おそらく気づいて選択していくと思うのですね。
そういうことをこの賞が少しでも手伝えればすごく良いことだと思うのですね。
(中略)
赤池氏:
価値というのは確信されているわけですね。さっきのトレインもそうですよね。
合理的に通勤通学の足になるだけではなくてちゃんと乗っている人は地域の景観を楽しむとか、価値とか意味をもう一度見直すことで、もしかすると、ありもののままでもチャーミングなキッズデザインというものがいつでも生み出せていけるのかなと思っています。
益田氏:
キッズデザインと言っていますが、このまま放っていくと段々とシニアデザインに繋がっていくと思うのですよ。
実はそういう軸で見ているデザインはないのですよ。今はキッズですが50年、60年経つと間違いなくシニアになっていきます。つまり高齢者デザインでもあるのです。少し変な言い方ですけど。人の一生というものをスケールとして持っているデザインという風に考えるととても広がりがあるような気がします。
それとインターナショナルなプログラムの展開、同じ人間なのだからというそれができてきたら、非常に面白い視点が生まれてくるような気がします。